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スキー技術【3】

スキー技術【3】のまとめ

 スキー技術【3】では、脚を中心としたスキー操作について考え、筋肉の収縮にも違いが有る事を説明しました。これらの事から整地での滑走性の良いターンと不整地でのコントロール主体の滑りでは、滑走技術が違う事が見えてくると思います。

 また、一般のレジャースキー(基礎スキー)とモーグルでは違いが有る事や、競技スキーとも基本ポジションから違いが有り、ハムストリングを使う事など、同じアルペンスキーでも目的や条件によって、ポジションや技術を使い分ける事が重要になって来ると思います。

 とりあえず、全体的な技術の話はこれくらいにして、これからはより具体的な個々の問題についてその都度考えていきたいと思っています。
個別の問題になると、個人的な考えが多くを占めてしまうと思いますので、あくまで参考程度にしてください。
 そもそもスキーはどのように滑ろうと個人の自由です、これが正しいとか間違っているとか言う事自体がおかしいのですから。

高い姿勢と前傾姿勢

 スキーヤーは経験から、低い姿勢で滑るより高い姿勢で滑った方が体力的に楽な事は知っています。
イメージ 1図Aを見てください。大腿四頭筋にかかる負荷について考えて見ると、上体の重さGによる膝関節を曲げようとする力Fがそれに当たります。
①は殆んど0、②で膝を曲げると徐々に大きくなり、③で最大になります。

次に股関節を伸ばす筋肉である、大臀筋とハムストリングについても同様に考えると、図Bのように、上体の前傾を深く曲げるほど①<②<③<④と負荷が大きくな
 
イメージ 2
                          ります。
以上の事から最も消費エネルギーが少ないのはA-①のように突っ立った姿勢です。しかしこの姿勢だと上体が遅れやすく、空気抵抗にも対応できないので、B-②くらいの姿勢が基本姿勢としてお勧めになります。
また、競技スキーなどハイスピードで滑る場合は上体の前傾を深めたB-③やB-④
の姿勢が基準になります。
 この図から上体の前傾を保って滑ると、常に大臀筋とハムストリングに負荷がかかっている事が解るでしょう。
 特にB-④では前傾を深く、腰を高く保っています。この時大腿四頭筋の負荷は少なくハムストリングの負荷が大きくなります。つまりももの前側よりも後ろ側が疲れる滑りとは、この姿勢の事を言っているのです。

 前に説明したように、最も前傾姿勢を取るのはフォールラインに向いたときです。
ターンマキシマムで後ろに落とされた腰を、フォールラインに向けてしっかり高い位置へと戻すことがとても重要になります。(ただし、実際ターン中には内傾角があるので雪面から高い位置ではなく、外スキーに対して高い位置になります。)

筋肉の収縮③

 ちょっと話がややこしくなりましたが実際の運動で説明すると、階段や坂道を登る運動は殆んどが短縮性収縮になり、下る運動は殆んどが伸長性収縮になります。
 山登りで「筋肉痛や筋疲労に関しては下り方が大事だ」と言われるのも、経験から伸長性収縮が筋肉痛や筋けいれんを起こしやすい事が知られているからでしょう。

 スキーも山を下る運動なので、基本的に伸長性収縮を多用すると言われていましたが、最近の滑りはあまり上下動を使わない等尺性収縮を使うように変わってきています。さらにカービングターンでは内足は伸長性収縮で、外足は短縮性収縮を使うというように複雑になっています。細かく見ていくとキリが無いですね。
 
 ですが、さらに重要な事がまだあります。それは筋収縮には通常の随意運動(自分の意思で動く)のほかに、反射運動があることです。
 反射運動と言うのは姿勢反射のように、自分が意識しなくても自動的に行なっている運動です。これについても考えるとキリが無いのでひとつだけ、伸長反射について触れておきます。

 たとえば縄跳びのような連続ジャンプをする時は、伸長反射と弾性エネルギーを使っています。この二つを使う事でエネルギー効率の良い、半ば自動化された速い動きが可能になるのです。
スキーでこの(伸長反射と弾性エネルギー)を使っているのがモーグルの滑りです。
コブをものすごいスピードで滑るには通常の随意運動では対応できないのです。
 
 つまりモーグルの滑りと一般的なコブの滑りとでは、使っている筋収縮の仕組みが違うので、一般的なコブの技術の延長線上にモーグルの技術は無いのです。
 モーグルの滑りは別の技術だと認識して練習する必要があると思います。

筋肉の収縮には三タイプある②

 骨格筋の収縮に3タイプある事を書きましたが(①短縮性収縮②等尺性収縮③伸長性収縮)、この三つの筋収縮にはいくつかの特徴がある事が解っています。

 まず、発揮できる最大の筋力が①<②<③の順に大きくなります。だいたい③は①の1.3倍くらいです。また、負荷が同じならば消費エネルギーは①>②>③の順で少なくて済みます。したがって③の伸長性収縮が一番効率が良いことになりますが、良い事ばかりではありません。
 この③伸長性収縮は筋繊維にダメージ(微細裂傷)が起きやすくて、筋疲労が最も大きい事が解っています。

 スキーに当てはめると、伸ばし加重よりも等尺性加重が、さらに曲げ加重が最も運動効率が良く、より大きな力に耐えられますが、曲げ加重を多用して滑ると筋肉痛や筋けいれんが起きやすくなってしまうのです。
 トレーニングでは、この筋繊維が傷ついてから修復するシステム(超回復と言う)を利用して、筋力の増強を目指します。そこでは伸長性収縮を利用したトレーニングが効率が良いとされ、ネガティブワークと呼ばれています。なんでもあのシュワルツネッガー氏が考案したとか?

 トレーニングでもう1点、アイソメトリックトレーニング(等尺性)では、関節の角度を一定に保って負荷に耐えるのですが、その時の関節角度の前後20%くらいで効果があるそうです。つまり膝を深く曲げた状態でトレーニングすると、その姿勢で効果が出ますが膝を伸ばした時には殆んど効果が無いのです。
 何が言いたいのかと言うと、膝を深く曲げて腰を落として滑っていると、その姿勢で力が発揮されるようになって、腰の落ちた姿勢が身についてしまうという事です。
 ですからトレーニングでは、高い姿勢から低い姿勢まで万遍なく力を発揮できるように気を配ります。
 そのような意味も含めて、私は「練習ではできるだけ大きく動いた方がいい」と思っているのです。

筋肉の収縮には三タイプある

 スキー操作の加重運動の話で、筋肉の収縮には三タイプあると書きました。
スポーツで主に働く骨格筋の話です。

 「力コブ」を作る時、上腕二頭筋が長さを縮めながら収縮しています。この筋肉は主にひじを曲げる動作をしています。
 このように通常、筋肉に力を入れると長さが縮んで太くなりますが、この時の筋の収縮を①短縮性収縮(コンセントリック コントラクション) と言います。

 ところが、腕相撲で相手と互角に引き合っている時は、力が入っていても長さは変わりません。このような筋の収縮を②等尺性収縮(アイソメトリック コントラクション) と言います。

 さらに相手の力が上回ると、力を入れていても筋は伸ばされていきます。この時の筋の収縮を③伸長性収縮(エキセントリック コントラクション) と言います。

 また、①と③を等張性収縮(アイソトニック コントラクション) と呼んで、②と対比させる分類もあります。さらに等速性収縮(アイソキネティック コントラクション)と等張性収縮に分ける考えもあります。
 かなりややこしいですね。

 で、スキーでよく使うももの前の筋肉(大腿四頭筋)とお尻の筋肉(大臀筋)に当てはめて考えると、それぞれ収縮すると膝と股関節を伸ばす動作をしているので、脚を伸ばしていく動作は①短縮性収縮で、脚の長さを一定に保つのが②等尺性収縮で、
脚を曲げながら雪面を押している動作は③伸長性収縮になるのです。

 おおざっぱに言えば、伸ばし加重は①短縮性収縮で、曲げ加重は③伸長性収縮になっているという事です。



ギャラリー
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