私は常々できるだけ色々な練習をして、技術の幅を広げる事を実践し、皆さんにもお勧めしています。
そうすれば実際の雪質や斜面状況、目的などによって滑り方を変えることができるようになるからです。
レジャースキーや一級程度までならば、一つの得意な滑りだけを追求していけば充分かもしれませんが、エキスパートを目指したりプライズテストを受けるなら、技術の使い分けをできるように意識して練習するべきだと思います。
一級レベルの方のブログや書き込みを読んでいると、この点の理解が乏しいように感じます。
「いちいち使い分けているはずが無い」とか「そんな事を考えている余裕は無いはずだ」などと言っている人が結構います。
こういう人は技術を使い分ける意識がほとんど無いのでしょう。
でも、コブの小回りと整地小回りを全く同じ技術で滑る人はいないはずです。おそらく無意識のうちに技術を使い分けているか、少しだけ意識を変えて滑っているのでしょう。
そこをもっと積極的に技術を使い分けて行ければコブも上達するのですが、技術を使い分ける意識が少ないので、コブの滑りもいま一つ上手くいかないのです。
この事は急斜面が苦手だ、とかスピードが出ると上手くいかない、と言った場合にも共通しています。
これらも単に難しい状況だから上手くいかないのではなくて、急斜面では急斜面に合った身体の使い方、スキーさばきが有り、ハイスピードで滑る時に適したポジション、動き方が有る事を理解できていないのです。
SG11月号の山田デモの特集「変幻自在ショートターン」でも、シチュエーションに合わせて滑りを変えて行く事を、テーマに取り上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=RAngrgCfj08
一級レベルまでは、ベースとなる基本技術をしっかり築き上げることが重要ですが、プライズレベルになると、その時の条件状況に合った滑りをすることが求められます。そこでは技術を使い分ける意識が無いと、なかなか上手く対応する事が出来なくなるのです。
この事を理解して練習をしないと、何時まで経っても技術の使い分けが身につきません。
カービング主体で滑るのか、スキッディング主体にするのか?
重心移動を優先させるのか、スキーを動かすほうを優先させるのか?
ターン弧の深さはどうするのか、落差はどうするのか?
姿勢やポジション、上下動、上体の向き、肩の傾き、手の位置・・・etc。
その斜面の雪質や荒れ方、斜面変化、スピード等を総合的に判断しながら、どういう滑り方が良いのか探りながら滑って行きます。
私の場合は同じ斜面を何本も繰り返し滑る中で、少しずつ滑りを変えて行く手法を取っています。反対にいろいろなコースを滑る中で、技術を変えて行くような方法も良いでしょう。
このレベルになるとワンパターンな滑りばかりしていたのでは、技術は頭打ちになって伸びなくなります。
自ら意識的に滑りを変えてみて、その結果がどうだったのかを考えながら滑り込む事が重要なのです。
型にはまった滑りを目指すのではなく、対応幅の広い柔軟な滑りを目指して行きましょう。