ちょっと話がややこしくなりましたが実際の運動で説明すると、階段や坂道を登る運動は殆んどが短縮性収縮になり、下る運動は殆んどが伸長性収縮になります。
山登りで「筋肉痛や筋疲労に関しては下り方が大事だ」と言われるのも、経験から伸長性収縮が筋肉痛や筋けいれんを起こしやすい事が知られているからでしょう。
スキーも山を下る運動なので、基本的に伸長性収縮を多用すると言われていましたが、最近の滑りはあまり上下動を使わない等尺性収縮を使うように変わってきています。さらにカービングターンでは内足は伸長性収縮で、外足は短縮性収縮を使うというように複雑になっています。細かく見ていくとキリが無いですね。
ですが、さらに重要な事がまだあります。それは筋収縮には通常の随意運動(自分の意思で動く)のほかに、反射運動があることです。
反射運動と言うのは姿勢反射のように、自分が意識しなくても自動的に行なっている運動です。これについても考えるとキリが無いのでひとつだけ、伸長反射について触れておきます。
たとえば縄跳びのような連続ジャンプをする時は、伸長反射と弾性エネルギーを使っています。この二つを使う事でエネルギー効率の良い、半ば自動化された速い動きが可能になるのです。
スキーでこの(伸長反射と弾性エネルギー)を使っているのがモーグルの滑りです。
コブをものすごいスピードで滑るには通常の随意運動では対応できないのです。
つまりモーグルの滑りと一般的なコブの滑りとでは、使っている筋収縮の仕組みが違うので、一般的なコブの技術の延長線上にモーグルの技術は無いのです。
モーグルの滑りは別の技術だと認識して練習する必要があると思います。