去年のオフは、西沢スキーの社長だった人の本(あのスキーはどこへいった)を読んで、スキーをタダの商売としてしか見ていない、残念な印象が残ったのでした。
 今回は、皇室御用達の杉山スキースクールの創立者であり、日本人2番目のオーストリー国家スキー検定教師資格取得者の杉山進氏の「遥かなスキー」を読んでみました。
イメージ 2

 飯山に生まれ、スキーを通していろいろな人と出会い、今日に至るまでの自伝的内容です。
 猪谷親子と出会って一緒に練習し、オリンピック出場長野電鉄に勤務しオーストリアにスキー留学する話や、SIAの立ち上げに参加していった話など、日本のスキーの歴史に興味のある方は、読んでみると面白いのではないでしょうか。

 個人的には(ヘソ天スタイル)に対する解説が興味深い物がありました。

 オーストリアも日本と同じ、先の大戦の敗戦国です。1945年から10年間は連合国軍に分割統治されていました。
 スキーが盛んなチロル州とフォアアールベルグ州はフランスの統治下にあったため、フランス流のローテーション技法が主流になってしまいます。そこで1955年に主権が回復すると、オーストリアは極端な逆ひねりを使う(ヘソ天スタイル)を発表し、日本にも何度も来日して講習会を行いました。
 しかしオーストリア本国で、実際にはそれほど極端な演技指導はしていなかった、と言うことです。
 オーストリアのバインシュピール技法を、誰よりも正しく知る杉山氏が、ヘソ天スタイルと書いていることからも、本質とかけ離れたスタイルになっていたと思われます。
 
イメージ 1

 ローテーションもバインシュピールも、両方使って滑ればそれが一番良いのですが、組織が対立すると一方を否定しなければならなくなる。これはスキーヤーにとっては悲劇です。SAJでも内足主導の次はしきりに外足荷重を謳っていますが、両方使って滑れば良いだけの話です。
 どちらか一方を否定すると言うのは、スキーヤーにとって損な話です。

 だいぶ話がそれてしまいましたね・・・。